病院の未収金の現状とは?6つの原因と未収金対策|クリニック特化の自動精算機

病院の未収金の現状とは?6つの原因と未収金対策を詳しく紹介

「病院の未収金ってなぜ発生するの?」「未収金があると、病院にどのように影響するの?」

こんな疑問や不安を感じることはありませんか。

病院で発生する未収金にはさまざまな原因がありますが、これが病院経営に大きな影響を与えることは確かです。

この記事では、未収金の現状や原因、そしてその対策について詳しく解説します。

未収金の問題でお悩みの方に、少しでも安心していただける内容をお届けできれば幸いです。

病院の未収金の現状

病院の未収金は、病院経営にとって大きな問題です。

厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」では、四つの病院団体(全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、日本病院会)が加入する病院で、1年間に約219億円、3年間で約426億円もの未収金が累積していると報告されています。

また、未払いの患者1人当たりの金額は平均5,000〜6,000円で、特に産婦人科や救急外来で多いことが分かっています。

多くの医療機関がさまざまな理由により、多額の未収金を抱えています。

これにより、病院の収益が圧迫され、経営の安定性が揺らぐリスクがあります

特に、外来患者が多い医療機関では、会計ミスや患者さまの自己負担額の理解不足が原因で未収金が発生しやすいです。

また、高齢化社会の進行に伴い、支払いが難しい患者さまも増加しており、未収金の問題は今後さらに深刻化することが予想されています。

病院の未収金の6つの原因

病院で未収金が発生する主な原因について解説します。

  • 緊急入院による保険証や所持金の不携帯
  • 病院受診で支払う費用の不足
  • 診療内容への不満
  • 支払うことへの認識の欠如
  • 保険請求での問題
  • 外国人患者さまの未払い

それぞれの未収金の原因を知って、対策を検討しましょう。

緊急入院による保険証や所持金の不携帯

緊急入院の際、患者さまが保険証や所持金を持っていないことがあります。

このような場合、患者さまの病状を最優先に治療を始めるため、支払い手続きが後回しになり、未収金が発生する可能性が高くなります。

特に、緊急時に必要な書類や資金が揃わない場合、治療後に支払いが滞るリスクが増します。

この問題に対応するためには、病院の受付や会計部門が、緊急入院時の手続きマニュアルを整備し、入院時に保険証や必要な書類を確実に確認することが重要です。

また、緊急入院時には、事前に支払い方法や保証金について取り決めておくことで、未収金のリスクを減らすことが求められます。

病院受診で支払う費用の不足

患者さまが支払うべき費用が不足していることも挙げられます。

保険適用後の自己負担額が予想外に高くなると、その場で全額を支払えない場合があります。

また、治療や検査が追加されたり、長期間の治療で費用が増えると、患者さまが用意している金額を超えてしまい、その結果、支払いが滞ることがあります。

特に、高齢者や低所得層の患者さまの場合、経済的な理由で支払いが難しくなり、未収金が発生するリスクが高まります。

診療内容への不満

患者さまが診療内容に不満を持つ場合なども未収金につながることがあります。

診察や治療の結果に満足できない場合、患者さまが支払いを拒否したり、そのまま未払いで帰ったりすることがあるからです。

特に、期待した効果が得られなかったり、診療の説明が十分でなかったりすると、患者さまは治療に対する価値を感じられず、支払いをしたくないと感じることがあります。

支払うことへの認識の欠如

患者さまが「支払う必要性を十分に認識していない」、これも一つの原因として挙げられます。

たとえば、「医療費はすぐに支払わなくてもよい」と誤解していたり、「保険が適用されるから費用は少ない」と思い込んでいたりして、支払いを後回しにしてしまうことがあるからです。

特に、急な治療や入院が必要になった場合、患者さまは精神的な負担から支払いに対する意識が薄れてしまうことがよくあります。

保険請求での問題

保険請求に関する問題もあります。

保険請求が正しく処理されないと、患者さまの自己負担額や保険適用外の費用が増えてしまい、その結果、未収金が生じることがあるからです。

たとえば、保険会社への請求が遅れたり、書類の不備で保険が適用されなかったりすると、予想外に高額な医療費が発生し、患者さまが支払いに困ることがあります。

保険請求の手続きは複雑なため、これが原因で未収金が発生しやすくなります。

こうした問題を防ぐには、病院側が保険請求をしっかりサポートし、患者さまに適切に説明することが重要です。

夜間・休日など会計体制の未整備

夜間や休日に会計体制が整っていないことも、原因になります。

たとえば、救急対応が必要なときや急患が夜間や休日に来院した際、通常の会計業務ができないことがあり、未収金が発生しやすくなります。

このような時間帯では、スタッフが少なく会計処理が遅れることがあり、仮会計を行って後日精算とする場合もあります。しかし、後で支払いを忘れたり、経済的な理由で支払いが遅れたりすることから、未収金が発生することがあります。

この問題を解決するためには、夜間や休日でも迅速に会計処理ができる体制を整えることが重要です。

外国人患者さまの未払い

外国人患者さまは、言葉の違いや医療制度の違いから、医療費の支払いに関する理解が不十分なことが多いため、未払いが起こりやすいとえいます。

特に旅行者や短期滞在者の場合、保険が適用されず、予想以上に高い医療費を請求されることがあります。これも原因の一つです。

実際、外国人患者さまの未払いの割合は7.2%で、日本人の約10倍にのぼります。

病院の未収金の発生による影響

次に、病院の未収金の発生による影響について解説します。

  • 病院の経営状況の悪化
  • 人員コストの増加
  • 患者さまとの関係の悪化

それぞれの内容を把握することで、病院への影響を最小限に留めましょう。

病院の経営状況の悪化

病院で未収金が積み重なると、経営に大きな影響を与えます。

未収金が増えると、病院の収益が減り、必要な資金が不足することがあります。

特に、小さな病院やクリニックでは、未収金が経営を圧迫し、医療機器の更新やスタッフの給与支払いが遅れることもあります。

また、病院には公益的な役割があり、未払いの恐れがあるからといって診療を拒否できないことも未収金の問題が解決できない理由の一つと言えます。

未収金が増加することで病院やクリニックの信用も低下し、資金調達が難しくなる可能性があります。

これにより、患者さまに対するサービスの質が低下し、結果として患者数の減少にもつながりかねません

このような悪循環を防ぐためには、未収金の発生を未然に防ぐ対策が不可欠です。

人員コストの増加

未収金が発生すると、病院の人員コストが増えることがあります。

未収金の回収には、スタッフが電話や書面で連絡を取るなど、多くの時間と労力が必要です。

その結果、回収業務に多くの人手がかかり、コストが増加します

さらに、未収金の回収がうまくいかない場合、専門の回収業者に頼むことになり、追加の費用が発生することもあります。

このように、回収業務にスタッフが時間を使うと、医療サービスの質が低下する可能性があり、スタッフのストレスやモチベーションも下がる恐れがあります。

患者さまとの関係の悪化

未収金があると、患者さまとの関係が悪化することがあります。

未収金が発生すると、病院やクリニックは患者さまに支払いを求めるために連絡を取らなければなりませんが、この連絡が患者さまに不快感を与えることがあります。

支払いを求める度に連絡があると、患者さまは圧力を感じることがあり、それが信頼関係を壊す原因になるかもしれません。

また、未収金があると患者さま自身も負担に感じるため、再度訪れるのをためらうことがあります。

これが病院やクリニックの評判にも悪影響を及ぼし、患者数の減少につながることもあります。

病院の未収金の対策

ここでは、病院の未収金の対策について詳しく紹介します。

  • 自動精算機を導入する
  • 「病院の未払い対策マニュアル」を作成しておく
  • 医業未収金補償保険に加入する

それぞれの対策を知って、病院の未収金の問題解決に努めましょう。

自動精算機を導入する

未収金対策として、自動精算機を導入するのはとても効果的です。

自動精算機を使うことで、会計業務の効率よくなり、未収金のリスクも減ります

自動精算機では、患者さまが診療後にその場で迅速に支払いができるため、支払いの手間や遅延を防げます。

これにより、支払いに関するトラブルや未払いの回収作業が減り、スタッフの負担やストレスも軽減されます。

さらに、自動精算機はクレジットカードや電子マネーなど、さまざまな支払い方法に対応しており、患者さまにとっても便利です。

支払いがスムーズに行えるため、遅延や未払いのリスクがさらに減少します。

また、自動で領収書を発行するため、後のトラブルも防げます。

初期投資は必要ですが、長期的にはコスト削減や業務効率の向上が期待できます。

自動精算機を導入することで、クリニックの未収金管理がより効果的になり、経営の安定化にも役立ちます。

興味がある方は、導入メリットに関する記事も参考にしてみてください。

関連記事:自動精算機をクリニックに導入するメリット7選!費用負担を抑えて導入しよう

「病院の未払い対策マニュアル」を作成しておく

病院やクリニックにおいて未収金の発生を効果的に防ぐためには「病院の未払い対策マニュアル」を作成しておくことが重要です。

このマニュアルは、未払いリスクを最小限に抑えるためのガイドラインや手順を提供し、病院の運営を安定させる役割を果たします。

マニュアルには以下の項目を含めると良いでしょう。

  • 未収金発生時の対応フロー:未払いが発生したときにどのように対応するかの手順。
  • 患者さまへの支払い方法の案内:支払い方法や手続きについての説明。
  • 未払い発生時の督促手順:支払いが遅れた場合の督促方法。

マニュアルでは、初期段階での支払い確認や支払い遅延が発生した際の迅速な対応が含まれている必要があります。

特に、未払いが発生した場合には、どのように丁寧に対応し、必要に応じて専門の回収業者に依頼するかを明確にすることが重要です。

また、自動精算機などの最新技術を導入することで、支払いの手続きがスムーズになり、未収金のリスクを大幅に削減できます。

マニュアルにはこれらの技術の導入方法や運用方法についても説明を加え、実際の運用に役立つ情報を提供します。

詳細な未払い対策マニュアルを作成することで、クリニックの経営が安定し、患者さまとの信頼関係も維持しやすくなります。

医業未収金補償保険に加入する

クリニックで未収金に対応するをために「医業未収金補償保険」に加入することは非常に重要です。

この保険に入ることで、患者さんが支払いをしない場合でも一定の補償が受けられ、経営の安定性が保たれます。

これにより、クリニックの経営資金への影響を小さくすることができます。クリニックの財務状態が改善することで、銀行などからの信頼も得やすくなります。

保険にはいくつかの種類があり、補償の範囲や保険料、契約条件が異なります。クリニックの経営状況やリスクに合わせた適切な保険を選ぶことが大切です。保険会社としっかり相談し、内容をよく理解したうえで契約しましょう。

また、自動精算機と組み合わせて使用することで、支払い遅延や未収金のリスクをさらに減らし、クリニックの運営をよりスムーズにすることができます。

関連記事:病院の自動精算機の使い方4ステップ!クレジットカードの使い方も解説

まとめ

病院での未収金問題は経営に大きな影響を与える深刻な問題です。未収金が発生する原因としては、緊急入院時に保険証や支払いが不足している、診療内容に不満があるなどがあります。

これに対応するには「未払い対策マニュアルの作成」や自動精算機の導入、医業未収金補償保険の加入などが効果的です。

特に自動精算機の導入では、会計業務の効率化とともに未収金の減少も期待できます。これにより、経営が安定し、患者さまとの良好な関係の維持につながります。

自動精算機の導入を検討されている方は、MEDIREGIーセミの無料相談でお気軽にお問い合わせください。

 

参考サイト・文献

【資料2】未収金管理について|厚生労働省

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。