医療DX化とはで得られる実際のメリットを紹介|クリニック特化の自動精算機

医療DX化とは?進まない理由やDX化で得られる実際のメリットを紹介

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、日本の医療、介護、福祉の現場で、患者さまの情報を瞬時に共有できる革新的な取り組みです。

これにより、情報の取得や管理が効率化され、より良い医療サービスの提供が可能になると期待されています。

DXとは、ICT(情報通信技術)の進化を活用して、生活をより豊かにすることを指します。

私たちの普段の生活でのDX化は、さまざまな形で進んでいるものの、医療現場でのDX化はまだ十分ではありません。

この記事では、医療DXの基本的な考え方や、現在の課題、なぜ医療DX化が進まないのかを考察します。

ぜひ、医療DX化を進めて業務の効率化を図りましょう。

医療DXとは?

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、医療現場での業務をデジタル化することを指します。

具体的には、以下のような取り組みが含まれます。

  • 電子カルテの導入:紙のカルテからデジタルデータに切り替えることで、情報管理が効率化されます。
  • オンライン診療:遠隔での診察を可能にし、患者さまの利便性を向上させます。
  • 患者データの分析:集めたデータを分析して、より良い医療サービスを提供するための情報を得ます。

医療DXは、医療従事者の負担を減らし、患者さまへのサービスを向上させることを目的としています。

これには、政府、クリニック、IT企業が協力して取り組んでいます。

  • 政府の取り組み:政府は「医療DX推進本部」を設置し、医療の質向上や効率化を目指して、医療DXの推進を重要政策としています。
  • 厚生労働省の目標:厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030」を策定し、2030年までにすべての医療機関に電子カルテの導入を目指しています。

医療DX化で解決する医療現場の課題

医療従事者の不足
医療従事者の数が足りないため、デジタル化によって効率を上げる必要があります。これにより、限られたリソースを最大限に活用できます。

地域での医療格差
地域によって医療サービスに差があるため、DX化で情報を共有し、どの地域でも質の高い医療を提供できるようにすることが求められています。

小規模な病院やクリニックの経営改善
経営が厳しい小規模な医療機関にとって、デジタル化は業務の効率化やコスト削減に役立ちます。これにより、経営の安定化が図れます。

安全保障と危機管理への対策が不十分
医療データの保護や危機管理が不十分なため、DX化によって安全対策を強化し、データ漏洩やシステム障害に対応できるようにすることが重要です。

それぞれについて詳しく説明します。

医療従事者の不足

日本の「超高齢社会」により、医療のニーズが急増していますが、医療従事者の不足が深刻な問題となっています。

特に、地方や過疎地域では、医師や看護師が不足しており、都市部と同じような医療を受けられないことがあります。

医療DXは、この人手不足を解消するための一つの方法として期待されています。

例えば、電子カルテやオンライン診療の導入により、医療従事者の負担が軽減され、より多くの患者さまに対応できるようになります

地域での医療格差

都市部と地方・過疎地域では、医療提供の体制に大きな違いがあります。

都市部には多くの病院があり、高度で専門的な医療を受けることができますが、地方では病院が少なく、医師や看護師が不足しているため、医療機関が閉鎖されることもあります。

そのため、必要な医療を受けるのが難しくなっています。

医療DXは、この地域格差を解消する手段として期待されています。

例えば、遠隔診療やモバイルクリニック(専用車両で患者の自宅を訪問し、オンラインで医師と診療を行うサポート)を導入することで、都市部と同じような医療サービスを地方でも受けることができるようになります

小規模な病院やクリニックの経営改善

小規模な病院やクリニックでは、経営の効率化が課題です。

また、新型コロナウイルスの影響で多くのクリニックでは患者数が減少し、収益が悪化しました。

医療DXは、このような経営環境を改善する手助けになります。

たとえば、診療報酬の請求業務や在庫管理を自動化することで、業務の効率化が図れます

また、電子カルテを導入することで、業務がさらにスムーズになり、経営の安定化につながるでしょう。

安全保障と危機管理への対策が不十分

近年の台風や地震、新型コロナウイルス感染症の拡大など、予期しない自然災害や感染症への対策が求められますが、まだ不十分な点が多い状況です。

医療DXは、こうしたリスクを軽減するための重要な手段です。

たとえば、電子カルテのデータをインターネット上のクラウドに保存できるシステムなら、災害時でも医療情報にアクセスできるため、迅速な対応が可能となります。

また、マイナンバーカードによるオンライン資格確認が可能となり、災害時でも患者情報の取得ができるでしょう。

医療DXの取り組み

医療DXの取り組みとしては大きく以下の4つがあります。

  • ペーパーレス化
  • オンライン診療
  • オンライン予約
  • 患者データの活用

それぞれくわしく解説していきます。

ペーパーレス化

医療現場では、カルテや問診票、同意書、処方箋などがまだ紙で管理されていることが多いです。

紙を使うと情報の管理が複雑になり、情報を共有したりアクセスするのに時間がかかります。

たとえ電子カルテを導入していても、同意書などの書類は紙で扱うことがあります。

これらの紙の同意書はスキャンして電子カルテに取り込まれ、紙と電子の両方で保管されます。

ペーパーレス化は、これらの問題を解決するための有効な手段です。

電子カルテやスキャンの導入により、医療情報を迅速かつ正確に管理できるようになり、業務の効率も向上します。

ただし、完全にペーパーレスにするためには、紙を使う場面を適切に管理することも重要です。

オンライン診療

オンライン診療は、コロナ禍で急速に広がり、医療DXの中でも注目されています。

この方法では、患者さまが自宅や職場から医師の診察を受けることができ、通院の手間や待ち時間を大幅に減らすことができます。

特に、医療が不足している地域では専門医の診察を受けるのが難しいですが、オンライン診療によって地域格差が改善されます。

さらに、対面診察が不要なので、感染症のリスクも減るため、オンライン診療の導入は非常に効果的です。

オンライン予約

以前は、クリニックの予約は電話や窓口で行うのが一般的で、患者さまとスタッフの両方に手間がかかっていました。

しかし、オンライン予約システムを導入すると、患者さまはより便利に予約ができるようになります。

予約時間の前にはメールで通知が届くため、無断キャンセルも減ります。

オンライン予約システムを使うことで、業務が効率よく進み、患者さまの満足度が向上することが期待できます。

患者データの活用

医療DXの進展により、さまざまな患者データを簡単に活用できるようになります。

マイナ保険証で、過去の健康診断の情報や薬剤の履歴を確認できるため、スムーズな診療が可能です。

ほかにも、診療情報や検査情報の共有ができるため、個別の治療計画を立てたり、予防医療の分野で活用したりすることが期待されます。

また「地域包括ケアシステム」のDX化も進められており、将来的には簡単にほかのクリニックで情報を共有できる社会を目指しています。

これにより、スムーズな医療の提供が可能となります。

さらに、ビッグデータ解析やAI技術を用いると、診断精度の向上や新たな治療法の開発が可能です。

これにより、患者さま一人ひとりに最適な医療を提供できます。

医療DXの4つのメリット

医療DX化で期待できるメリットは主に以下の4つです。

  • 患者さまの満足度向上
  • クリニックの業務の効率化
  • コストの削減
  • 個人の健康増進

それぞれくわしく解説します。

患者さまの満足度向上

医療DX化により、クリニックの運用がシステム化され、患者さまの待ち時間が短くなります。

また、医療機関に通うことが難しい患者さまは、遠隔地でも質の高い医療サービスを受けられるようになります

また、感染を気にして対面診療を避けたい患者さまにとっても、オンライン診療は安心です。

さらに、自動精算機の導入によりスムーズな会計作業が可能となり、患者さまの満足度も向上できるでしょう。

関連記事:自動精算機をクリニックで使うメリット7選!患者満足度を向上させよう

クリニックの業務の効率化

医療のDX化は、クリニックの業務を効率化する強力なツールとして活用できます。

例えば、物品管理から診療報酬明細書の作成や経理業務などの煩雑な事務作業を自動化できるため、医療従事者の負担が軽減できます。

また、医師は電子カルテを通して指示をオーダーできるため、スムーズに効率よく業務を進められるでしょう。

スタッフは本来の業務に集中でき、質の高い医療サービスの提供が可能です。

コストの削減

DX化が進むと、電子カルテシステムの標準化や業務の自動化で、クリニックの人員コストや運営コストの削減が見込めます。

電子カルテの導入によるメリットは以下が挙げられます。

  • 紙ベースの運用コストの削減
  • 電子カルテシステムの標準化
  • 伝票がないためスムーズな診療が可能

そのほか、効率的な物品管理によって無駄な在庫をなくしたり、自動精算機によるスムーズな会計作業ができたりと、さまざまなコスト削減にもつながります

個人の健康増進

医療DX化により、医療のビッグデータとして患者さまの健康データが生涯にわたって管理され、個別の健康管理が可能となります。

身近なところでは、マイナ保険証を活用することで、自分の健康診断の結果や薬剤情報を確認できます。

クリニックや調剤薬局でもこの情報を活用できるため、診療や投薬をスムーズに進められるでしょう。

また、検査結果やアレルギー情報が迅速に共有されることで、適切な診療が可能となり、患者さまの安全性が向上します。

医療DX化が進まない4つの理由

医療DX化が進まない理由としては以下の4つが挙げられます。

  • デジタル格差がある現場
  • 医療DX化への反対意見
  • 医療機関において競争原理が働きにくい
  • 医療DX化にかかるコストとセキュリティ対策への不安

それぞれくわしく解説していきます。

デジタル格差がある現場

医療DXが進まない理由のひとつは、デジタル格差です。

これは、電子カルテや自動精算機を導入するためには専門のIT人材が必要で、また、導入や維持にかかる費用が高いため、すべての医療機関がすぐに導入できるわけではないからです。

特に、小規模な医療機関では、IT人材を確保するのも資金を集めるのも難しいため、大きな医療機関と比べてデジタル化が遅れがちです。

そのため、医療DXを進めるには、各医療機関の状況に応じた支援が必要です。

医療DX化への反対意見

医療DXに対してはいくつかの反対意見があります。

たとえば、最近導入が進んでいるマイナンバーカードや電子処方箋について、使い方に対する不安や抵抗を感じる人が多いです。

電子処方箋を使うと、薬を受け取る時間が短くなり、処方ミスのリスクが減ります

また、マイナンバーカードを使った保険情報の確認も、初めはうまく反映されないことがありましたが、今はその問題は解決されています。

医療機関において競争原理が働きにくい

医療機関では、診療報酬が国によって決められているため、市場の競争原理が働きにくいです。

このため、医療DXを導入するインセンティブが不足しており、その進展が遅れる要因となっています。

ただし、2024年からは医療DXを進めることで診療報酬が加算されるようになり、患者さまひとりあたり数十円の追加請求が可能となりました。

医療DX化にかかるコストとセキュリティ対策への不安

医療DXを進めるためには、初期投資が必要です。

たとえば、電子カルテを導入する際の費用やセキュリティ対策にかかるコストが高く、これが医療機関にとって大きな負担となっています。

このため、小規模な病院やクリニックでは、電子カルテの導入が遅れているのです。

また、医療情報の漏洩やサイバー攻撃のリスクもあります。

これに対処するためには、十分なセキュリティ対策が必要です。

サイバー攻撃がニュースになることもあり、これが不安要素となって、医療DXの導入をためらう理由の一つにもなっています。

医療DX化の事例

在宅医療の現場での医療スタッフの連携

 電子カルテの導入により、在宅医療の現場で医療スタッフがスムーズに連携できるようになっています。

例えば、訪問診療時にタブレット型の電子カルテを使うことで、患者さまの情報を自宅でも確認・入力できるようになります。

操作も簡単で負担になりません。

また、医師が訪問できない場合には、看護師が訪問して医師とオンラインで診療を行うことで、より多くの患者さまに対応できます。

患者さまの待ち時間の短縮

電子カルテ、オンライン予約システム、自動精算機の導入により、患者さまの待ち時間が短縮されています。

オンライン予約システムにより、診察の待ち時間が減り、混雑も緩和されます。

診察時には電子カルテで情報が一元管理され、会計業務もスムーズに行えるようになります。

自動精算機の導入により、会計の手続きも効率よく進み、患者さまの負担が軽減されます。

まとめ

医療DXにより、ペーパーレス化、オンライン診療、患者データの活用などが進むと、患者さまと医療従事者の両方に多くのメリットがあります。

医療DXの進展には、デジタル格差や導入コストなどの課題があるため、全体的な進行が遅れています。

しかし、これらの課題を乗り越えれば、医療の質や効率が向上し、より多くの人々が質の高い医療を受けられるようになるでしょう。まずはご施設でできそうなことからはじめましょう。

MEDIREGI-セミは、クリニックの業務効率化をサポートし、運用の安定化に貢献します。

これにより、クリニックの業務がスムーズになり、患者さまの満足度も向上することを目指しています。お気軽にお問合せください。

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。