クリニックの自動釣銭機の導入 運用しやすい診療科目とそのニーズ

クリニックの自動釣銭機の導入 運用しやすい診療科目とそのニーズ

「自動釣銭機を導入すると業務を効率化できるの?」「自動釣銭機の運用が効果的な診療科ってあるの?」

患者サービスの向上や業務効率化に悩むクリニックにおいて、その対策として自動釣銭機の導入を検討されることも多いと思われますが、一方で、「自施設に本当に必要なのか?」と疑問を持たれるケースもあるでしょう。

自動釣銭機とは、文字どおり現金の受け取りと釣銭の返却を自動化する機械です。

一般的には自動精算機と同様に、レジ業務の負担軽減や待ち時間の短縮などのメリットが期待できます。

そこで、本記事では、自動釣銭機を効果的に運用できる診療科目や導入の際のポイントについて解説します。

1.自動釣銭機の運用が効果的な診療科目

自動釣銭機は多くの診療科目で有効ですが、とくに効果があらわれやすいと考えられる4つの診療科と、そのニーズについてみていきましょう。

診療科

理由

小児科

子どもを連れているため、短時間でスムーズな支払いが求められる

歯科

治療後の痛みや不快感がある患者さまが多く、迅速な支払いが望まれる

眼科

視力検査や眼鏡処方などの定期的な来院が多く、効率的な支払いが求められる

それぞれくわしく解説します。

小児科

小児科は、保護者が体調の悪い子どもを連れての来院が多く、子どもの機嫌や体の不調によって長時間の待合での待機が難しい場合もあります。

そのため、自動釣銭機により効率的に会計を済ませることができれば、会計にかかる時間が短縮し、保護者・子ども、双方の負担を軽減できるでしょう。

歯科

歯科の治療後は、痛みや不快を感じていることも多く、速やかな会計が望まれるため、自動釣銭機の導入が効果的です。

患者さまの中には、口腔内の麻酔が効いている間に会計を済ませたい方もいるでしょう。

自動釣銭機により、速やかに支払いができれば結果として、患者満足度の向上が期待できます。

また、歯科は自費診療となる治療も多く、保険適用との料金の違いも正確に反映し処理できるでしょう。

眼科

眼科では、視力検査や眼鏡を作るために繰り返し来院される患者さまが多く、会計はスムーズで短時間でなければストレスが溜まりやすいといえます。

自動釣銭機の導入により、患者さまの支払い手続きがスムーズになり、待ち時間が短縮できるでしょう。

これにより、クリニックの回転率が上昇するため、収益アップも期待できます。

2.とくに効果が得られやすい整形外科とリハビリクリニック

効果が期待できると考えられる診療科の中でも、とくに注目されるのが整形外科とリハビリクリニックです。

これらの診療科の特性とあわせて自動釣銭機がもたらすメリットについて、くわしくみていきましょう。

診療科

患者層

病気の種類、診療内容

整形外科

・子ども

・高齢者

・スポーツ選手

・ケガの治療

・手術後のケア

リハビリテーション

・整形外科の患者

・慢性的な痛みがある患者

・運動機能の改善を目的とした患者

・物理療法

・運動療法

・作業療法

整形外科やリハビリクリニックには、幅広い年齢層の患者さまが来院するため、いずれの患者さまにも対応できる支払方法が求められます。

加えて、ケガをして身体が不自由な患者さまも多いため、シンプルで操作しやすい会計システムが必要です。

ほかの診療科と比較すると、交通事故の自賠責保険や任意保険、労災保険といった通常の健康保険とは違う支払方法の患者さまもいるため、それぞれの事情に応じた適切な会計処理を正確かつ迅速におこなう必要があります。

また、リハビリクリニックには、整形外科のほかに脳卒中後のリハビリや慢性的な痛みの緩和、運動機能の改善を目指すなど、さまざまな背景を持った患者さまが通院しています。

長期的な治療計画をもとに患者さまの状態に合わせてさまざまなリハビリプログラムが提供されていることが多く、定期的に通院する際の会計には、自動釣銭機を活用した気軽でスムーズなシステムが求められるでしょう。

3.自動釣銭機の導入によるメリット

前述した診療科に限らず、自動釣銭機の導入自体、多くのメリットをもたらします。

自動釣銭機の一般的なメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 業務効率化
  • 患者満足度の向上
  • セキュリティの向上

それぞれ、くわしく解説していきます。

3.1 業務効率化

スタッフの作業負担が軽減されることが、自動釣銭機の導入の大きなメリットです。

現金の取り扱いや釣銭の計算といった時間のかかる作業が自動化されるため、その分スタッフは、以下のような業務に集中できるようになります。

  • 患者受付対応
  • 予約管理業務
  • レセプト業務
  • 患者さまのケア
  • 診療補助

また、自動釣銭機の使用によって会計ミスが削減されることもポイントです。

ヒューマンエラーが減少し正確な金銭管理が可能になるため、とくに忙しい時間帯や複雑な料金体系であるクリニックでは、うれしいメリットでしょう。

さらに、日々のレジ締め作業も簡素化されます。自動釣銭機が現金の入出金を正確に記録するため、レジ締めの時間が短縮され、スタッフの残業時間削減にもつながります。

3.2 患者満足度の向上

自動釣銭機の導入で、混雑時の待ち時間が解消できることも大きなメリットのひとつです。

待合での待ち時間が短縮することにより、患者さまはストレスなく速やかに帰宅できます。

厚生労働省の令和2(2020)年受療行動調査によると、診察前の待ち時間が長いほど、不満を感じるという患者さまは全体の23.9%でした。

診察前に待たされたうえに、診察後も待ち時間が長ければ一層不満が高まる可能性があります。

また、患者さまは自動釣銭機によるスムーズな会計体験を通じて、患者利便性にも配慮しているといった印象を持ち、クリニックのイメージ向上にもつながるでしょう。

さらに、自動釣銭機の利用で、現金の受け渡しミスがなくなります。キャッシュレス決済(バーコード決済・QRコード決済・電子マネーなど)に対応している自動釣銭機であれば釣銭の返却も不要です。患者さまと医療機関の間で、金銭的なトラブルが発生するリスクも低減します。

3.3 セキュリティの向上

自動釣銭機の導入により、セキュリティが向上することもメリットと言えます。

機械が現金を管理するため、人の手による現金の取り扱いの機会が減り、現金管理が簡素化されます。

自動釣銭機には入出金記録が残るため、現金の紛失や盗難のリスクも減少するでしょう。

また、現金の保管場所が集約されることで、セキュリティ対策にもなります。

自動釣銭機はセキュリティシステムを備えており、現金を金庫へ移動する必要がないため安全に現金を管理できます。

4. 導入の際のポイント

自動釣銭機の導入を検討する際のポイントとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 初期費用とランニングコスト
  • スタッフのトレーニング
  • 患者さまへの案内

それぞれくわしく解説していきます。

4.1 初期費用とランニングコスト

自動釣銭機の導入には、ある程度の費用が必要です。初期費用は本体だけで、30~100万円程度かかります。

そのほか、システムの導入や既存のシステムとの連携にかかる費用も準備しましょう。

また、ランニングコストとして定期的なメンテナンス費用や消耗品の交換費用なども考慮しなければなりません。

これらの費用は、クリニックの規模や利用頻度によって異なります。

ただし、これらの費用は長期的に見れば効果的な投資と言えるでしょう。というのも、業務効率化による人件費の削減や会計ミスの防止による損失の回避、患者満足度の向上による来院数の増加などが見込まれるからです。

自動釣銭機の購入が難しい場合は補助金の利用やリース契約、レンタルなどで初期投資を抑える選択肢もあります。自動釣銭機でも自動精算機と同じように補助金が活用できる可能性があります。

詳しくは下記の記事を参考にしてください。

関連記事:自動精算機をクリニックに導入するメリット7選!費用負担を抑えて導入しよう 

4.2 スタッフのトレーニング

自動釣銭機の導入にあたっては、スタッフの適切なトレーニングが欠かせません

使用方法のほかにトラブル時の対応や患者さまへの説明方法などの対応も必要です。

一般的に、以下のようなトレーニングをおこないます。

  • 基本的な操作方法
  • 日常のメンテナンス手順
  • 釣銭の補充や回収の方法
  • エラー発生時の対処法
  • セキュリティ機能の理解と適切な利用方法
  • 患者さまへの操作説明方法
  • 障害発生時の代替手段(手動での会計処理)
  • データ管理や報告書作成の方法

自動釣銭金の導入前は、十分な時間を確保してスタッフのトレーニングをおこないましょう。

定期的なフォローアップや新しい機能の追加時にもトレーニングの実施が必要です。

また、万が一の場合のサポート体制を整えておくと良いでしょう。機器メーカーやベンダーと緊密な連携をとることで、トラブル時に迅速な対応が期待できます。

4.3 患者さまへの案内

自動釣銭機の導入時には、患者さまへの丁寧な案内を心がけましょう。

とくに、機械が苦手な患者さまは、新しいシステムの利用に不安を感じてしまう恐れがあります。

効果的な案内方法には、以下のようなものがあります。

  • わかりやすい操作手順を示したポスターやリーフレットの作成
  • 待合室でのデモンストレーション動画の放映
  • スタッフによる丁寧な説明とサポート

自動釣銭機自体の使いやすさも重要です。シンプルな機器であれば、苦手な人でも操作しやすいでしょう。さらに、車椅子利用者でも使いやすい設置場所やスペース、製品のタイプなどバリアフリー対応も考慮する必要があります。

さまざまな患者さまを想定した配慮が求められます。

導入後は患者さまからのフィードバックを積極的に集め、継続的に改善をおこなうことで、患者さまの満足度がさらに向上していくでしょう。

まとめ

自動釣銭機の導入によって業務効率化や患者満足度向上、セキュリティ強化などクリニック運営においてさまざまなメリットが期待できます。

今後、AIやIoT技術によって、より高度な患者サービスやクリニックの業務改善において進化が期待されます。

自動釣銭機の導入は、単なる会計業務の効率化にとどまらず、クリニック全体のサービス品質と運営効率を向上させる重要な一歩となるでしょう。

MEDIREGIは、クリニック専用の自動釣銭機として、運用の安定化を徹底サポートし、業務効率化に貢献します。

コンサルタントによる個別提案も可能です。自動釣銭機の導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。